日本山の科学会2025年秋季研究大会の報告
日本山の科学会2025年秋季研究大会は、2025年11月22日(土)・23日(日・祝)に、東京都千代田区の明治大学駿河台キャンパスにおいて開催され、口頭発表とポスター発表、一般公開の講演会、現地検討会を実施した。大会への参加者は43名であった。口頭発表は12件で、山岳を対象とする様々な分野の研究発表に対し会場から多数の質問が寄せられて、時間を大幅に超過するほど活発な議論が展開された。ポスター発表は9件あり、発表者の説明に熱心に耳を傾ける姿や、様々な角度からの質問に丁寧に答える姿などが見られ、充実した議論の場となった。これらの発表のなかから、学生優秀発表賞として新潟大学大学院生の熊谷海杜会員の「杓子岳北カールにおける山岳永久凍土の分布可能性」が、また、若手優秀発表賞として京都大学生態学研究センターの小野誠仁会員の「ポターニン氷河(モンゴル・アルタイ)における窒素栄養の標高分布とその起源」がそれぞれ選出された。また、ポスター発表後の時間を利用して日本山の科学会の総会が開かれた。
15時からは一般公開の講演会が開催された。講演会のテーマは『山岳環境と人間社会:山とヒトとの結び目をさぐる』であった。弘前大学名誉教授の檜垣大助先生,福山市立大学教授の澤田結基先生にご登壇いただいて、それぞれ地すべりと風穴をテーマに長年の研究から得られた知見に基づく幅広い視点からの話題が提供された。一般の方を含めた46名の参加者からは次々に質問が投げかけられ、とても盛り上がる討論となった。
17時半からは神田神保町にて、講演会の登壇者も含む32名が参加して意見交換会が開催された。大人数での活気ある意見交換会となり、おおいに議論を深めることができた。
翌日は9時に芝公園駅に集合し、帝京平成大学の小森次郎会員の案内で、現地討論会「都心巡検―山手台地東縁の双丘とビル谷底と河口砂州―」を実施した。都心の尾根(砂州)や山を歩いてめぐるというコンセプトのもと、参加者20名で、芝丸山、紅葉谷、愛宕山など都心の自然を堪能しつつ、麻布台ヒルズといった開発地区も訪れた。11月にしては暖かい日に、江戸~東京の開発の歴史にも触れつつ、程よく筋肉痛になる不思議な山登りを楽しんだ。
(報告 佐々木夏来)


