研究大会

日本山の科学会2024年秋季研究大会の報告

掲載日:2024年12月10日

日本山の科学会2024年秋季研究大会は,2024年11月23日(土)・24日(日)に,「長野県大町市 市立大町山岳博物館講堂」において開催され,口頭発表とポスター発表,一般公開の講演会、現地検討会を実施した。大会への参加者は48名であった。口頭発表は12件で,山岳を対象とする様々な分野の研究発表に対しフロアから多くの質問が寄せられ,理解が深まった。ポスター発表は11件で,コアタイムを2つのグループに分けて発表が実施された。時間いっぱい活発な議論が交わされた。これらの発表のなかから,学生優秀発表賞として筑波大学大学院生の岡本遼太郎会員が,また,若手優秀発表賞として防災科学技術研究所雪氷防災研究センターの砂子宗次朗会員がそれぞれ選出された。また,ポスター発表前の時間を利用して日本山の科学会の総会が開かれた。

15時から一般公開の講演会が開催された。講演会のテーマは『上高地ニホンザルの特異な行動と生態:「ダーウィンが来た!」舞台裏とその後の新知見』である。東城幸治先生(信州大学),竹中將起先生(信州大学),土橋彩加さん(信州大学大学院生),長原衣麻さん(信州大学学生)にご登壇いただいて, NHKの番組「ダーウィンが来た!」で放送された世界で最も寒い場所に住むサルについて,多視点からの研究成果をもとにご講演いただいた。上高地の冬の厳しい環境を生き抜くニホンザルの行動についてたいへん興味深い話題が提供され,一般の方を含めた56名の参加者からの質問は講演会の終了予定時間を過ぎても途切れることなく続いた。

18時から信濃大町駅前に移動し,32名が参加して意見交換会が開催された。久々の大人数での意見交換会となり,時間いっぱい議論を深めることができた。非常に有意義な意見交換会となった。

翌日は9時に信濃大町駅に集合して貸し切りバスに乗車し,参加者24名で現地討論会に出発した。大町山岳博物館の竹村健一さんと関 悟志さんの案内により,日本最古の神明造で国宝に指定されている仁科神明宮や泥炭が厚く堆積する唐花見湿原など,文化財から自然までをひろく見学し,小雪が舞う寒いなかではあったが,熱心な討論が行われた。

(報告 佐々木明彦)

総会
総会
口頭発表の様子
口頭発表の様子
公開講演会の様子
公開講演会の様子