日本山の科学会2022年秋季研究大会・公開シンポジウムの報告

『日本山の科学会2022年秋季研究大会』は,2022年10月30日(日)に,「新潟大学 駅南キャンパスときめいと」において開催されました(後援:新潟大学環東アジア研究センター)。研究発表では午前・午後で15件の口頭発表が行われました。山岳を研究対象地とする様々な分野の研究発表に対し,活発な議論が交わされました。これらの発表のなかから優秀発表賞が選出され,学生優秀発表賞として信州大学大学院総合理工学研究科・大学院生の吉田 匠さん,若手優秀発表賞として東京大学大学院農学生命科学研究科の大谷侑也さんがそれぞれ表彰されました。また,秋季研究大会に併せて,日本山の科学会の総会が開かれました。
依然として新型コロナウイルスの影響があるなかでの大会であったため,懇親会などを開催しての意見交換はできませんでした。しかしながら,短い時間ではありましたが,対面で議論できたことは非常に有意義でした。

(報告 佐々木明彦)

優秀発表賞の受賞式 (撮影:佐々木明彦)

日本山の科学会シンポジウムの報告

日本山の科学会2022年秋季研究大会の開催に併せて,研究大会前日の2021年10月29日(土)に一般公開シンポジウム『平野の土砂は山からどのようにやって来るか?-積雪流域の自然災害-』を「新潟大学 駅南キャンパスときめいと」において開催されました(後援:新潟大学環東アジア研究センター)。当日申込を含めた50名を超す会員・一般の参加がありました。鳥取大学の小玉芳敬教授を基調講演としてお招きし,加えて新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志教授,片岡香子教授,西井綾子准教授,松本高峰特任准教授の合計5名の方にご講演いただきました。集水域から平野への水,土砂流出に至る諸過程について,鳥取と新潟のそれぞれの地域で特徴的な現象が紹介されました。質疑,総合討論の時間には,会場の聴講者も交え,講演者同士でそれぞれの地域で共通する部分と異なる部分を比較するなど,活発な議論が行われました。これらの討論を含めた本シンポジウムを通じて,日本の山地帯における物質循環の奥深さを再認識する契機となりました。

(報告 西村基志 )

シンポジウム会場の様子(撮影:奈良間千之)

 

日本山の科学会2022年秋季研究大会と公開シンポジウムのお知らせ(第3報)

ver.221018

大会,シンポジウムの日程や内容,参加登録の案内を以下の通りお知らせいたします。

大会ポスターはこちら(pdf 873KB)

一般公開シンポジウムポスターはこちら(pdf 1239KB)

1.期日 2022年10月29日(土)~10月30日(日)

2.会場 新潟大学 駅南キャンパス ときめいと
新潟市中央区笹口 1 丁目 1 番地 プラーカ 1 2 階(JR 新潟駅直結)
https://www.niigata-u.ac.jp/university/facility/tokimate/

3.日程 10 月 29 日(土)13:30~17:00

一般公開シンポジウム
「平野の土砂は山からどのようにやって来るか?-積雪流域の自然災害-」主催:日本山の科学会 共催:新潟大学災害・復興科学研究所

基調講演

・小玉芳敬(鳥取大学)
「間欠的に多量の砂を流す千代川と鳥取砂丘海岸の地形・堆積物の応答」

講 演
・松元高峰(新潟大学)
「積雪流域における森林環境の変化が融雪と河川流出に及ぼす影響」

・片岡香子(新潟大学)
「火山噴火に伴う流域撹乱と下流域への広域な伝播作用:沼沢火山 5400 年前噴火の事例」

・西井稜子(新潟大学)
「豪雨イベントによる表層崩壊と林齢の関係:五頭山周辺の事例」

・卜部厚志(新潟大学)
「平野の地形形成における土砂供給イベントの影響」

10 月 30 日(日)会場受付 8:30 開始

研究大会:
09:00-09:05 開会あいさつ
09:05-10:05 口頭発表セッション 1
10:10-11:10 口頭発表セッション 2
11:15-12:00 口頭発表セッション 3
12:00-12:50 休憩
12:50-13:15 総会
13:15-14:15 口頭発表セッション 4
14:25-14:40 表彰式,閉会あいさつ

4.研究発表
研究発表は全て口頭発表にて行います。一件当たりの発表時間は交代を含めて 15 分(発表 12 分, 質疑応答 3 分)です。会場備え付けのプロジェクターとご自身の PC を接続し,ご発表ください。
大会参加費は会場受付にてお支払いください。参加費は一般 2000 円,大学院生 1000 円,学部生無料です。
なお,会場内での食事はできません。昼食は最寄りの施設でお摂りください。

5.お問い合わせ先 日本山の科学会事務局(メールアドレス:inf@jasms.sakura.ne.jp)

一般研究発表プログラム

口頭発表セッション 1   時間:9:0510:05

(★:若手優秀発表賞 審査対象,☆:学生優秀発表賞 審査対象)

No 著者名(所属) タイトル
 

O-01

田頭春乃*(信州大院,総合理工),灰方郁人(信州大,理,生物),鈴木智也(信州大,理,生物),谷野宏樹(信州大,理,生物),竹中將起(信州大,理,生物),東城幸治(信州大,理,生物)  

 

非侵襲的手法による遺伝子解析から紐解くカワガラスの系統進化

 

 

 

O-02

吉田匠*(信州大,総合理工),林成多(ホシザキグリーン財団),竹中將起(信州大, 理),東城幸治(信州大,理) 河川の上流域に生息するマルヒメツヤドロムシの分子系統地理研究  

O-03 上木岳*(信州大学),東城幸治(信州大学) ブナ林の時空間的分布様式の地域差がヒメオオクワガタの遺伝的構造におよぼす影響
O-04 大谷侑也(東京大学),水野一晴(京都大学) 東アフリカ熱帯高山帯の大型木本性ロゼット植物の樹齢推定と枯葉中δ13C を用いた土壌水分の復元に関する検討

 

口頭発表セッション 2   時間:10:10–11:10

O-05 金井杏樹*(信州大学大学院),榊原厚一(信州大学),鈴木啓助(信州大学) 高強度降水時における山体地下水の降雨流出への寄与
O-06 鈴木啓助(信州大学,大町山岳博物館)  

中部山岳地域の冬は暖かくなっているか?

 

O-07

有江賢志朗*(新潟大学),奈良間千之(新潟大学),福井幸太郎(立山カルデラ砂防博物館),飯田肇(立山カルデラ砂防博物館)  

白馬連山における 3 つの多年性雪渓の氷厚と流動

 

 

 

O-08

西村基志*(国立極地研究所),青木輝夫(国立極地研究所,気象研究所),庭野匡思(気象研究所),的場澄人(北海道大学低温科学研究所),谷川朋範(気象研究所),山口悟(防災科学研究所),山崎哲秀(アバンナット北極プロジェクト)  

 

グリーンランド北西部 SIGMA-B サイトにおける 2012 年から 2020年の表面質量収支変動

 

 

 

口頭発表セッション 3   時間:11:1512:00

O-09 杉山博崇*(新潟大学,院),奈良間千之(新潟大学)) 飛彈山脈北部の高山帯における深度別地温の観測
O-10 佐々木明彦(国士舘大),西村基志(極地研),鈴木啓助(信州大,大町山岳博物館) 北アルプス乗鞍岳高山帯の地温状況 -強風砂礫斜面とハイマツ群落の比較-
O-11 佐々木夏来*(中央大学)、池田敦(筑波大学) 苗場火山の溶岩台地上に形成された湿原の土壌水分特性と成立環境

 

口頭発表セッション 4   時間:13:1514:15

O-12 佐藤  匠(専修大学,院),苅谷愛彦(専修大学) 北アルプス北部,八方沢の地すべり移動体上に形成された池溏における後期完新世以降の環境変化
O-13 苅谷愛彦(専修大学),佐藤  剛(帝京平成大学) 北アルプス,朝日岳-唐松岳主稜線西面の地すべり群
 

 

O-14

川又基人*(寒地土木研究所)、吉野恒平(寒地土木研究所)、坂本尚弘(寒地土木研究所)、小安浩理(北海道立総合研究機構)、石丸 聡(北海道立総合研究機構)、倉橋稔幸(寒地土木研究所)  

北海道における周氷河地形研究の現状とその応用地形地質学的課題

 

 

O-15 福井幸太郎(富山県立山カルデラ砂防博物館)*、金田平太郎(中央大学) 立山カルデラの重力断層の現在の活動状況と形成年代

日本山の科学会2021年秋季研究大会(オンライン大会)と公開シンポジウムのお知らせ(第2報)

大会,シンポジウムの日程や内容,参加登録の案内を以下の通りお知らせいたします。

1.期日 2021年10月30日(土)~10月31日(日)
2.会場 オンライン(*:会員限定 Z:Zoom使用.S;Slack使用)
3.日程

10月30日(土)
10:00-10:10 開会あいさつ(会長).全体説明 (Z)
10:10-11:25 口頭発表A(Z)
11:25-12:25 昼休み
12:25-13:00 *総会(Z)
13:00-14:00 口頭発表B(Z)
14:00-14:10 ポスター発表者によるFlash talk(Z)
14:10-14:25 休憩
14:25-15:25 ポスターコアタイム(S)

10月31日(日)
公開シンポジウム 『北アルプスの価値の創出~北アルプスのなにがすごい?地形・地質と雪氷の視点から~』 (Z)

・シンポジウム参加申込み締め切り:10月29日(金)12時まで【延長しました】
・シンポジウム参加申込フォーム:https://forms.gle/A1QCqr4Awc3QymiAA

09:00-09:10 シンポジウムの説明(新潟大・奈良間)
09:10-09:35 空から見る北アルプスのすごい地形(専修大・苅谷)
09:35-10:00 北アルプスの隆起と黒部峡谷の地形の魅力(富山大名誉:竹内)
10:00-10:25 世界に誇る北アルプスの積雪量とその魅力(極地研・西 村)
10:25-10:50 北アルプスは雪渓王国!?氷河が存在する環境とは?(新潟大・有江)
休憩 15分
11:05-12:20 総合討論
白馬の景観の変遷と魅力(白馬山案内人組合 松本氏,久田氏)
立山の景観美の秘密と新しい魅力 (立山カルデラ砂防博・福井)

公開シンポジウムポスター(クリックで拡大)

今大会は全てオンラインで開催します.開会あいさつ,口頭発表,総会,ミニシンポジウム,および研究交流会は Zoomで,ポスター発表の閲覧とコアタイムの質疑応答はGoogle DriveとSlackをそれぞれ使います.接続に関するURL情報は大会参加登録のメールアドレスへ事前にお知らせします.

4.研究発表
研究発表(口頭,ポスター)は,オンラインでおこないます.口頭発表はZoom(Z),ポスター発表はSlack(S)で実施します.
口頭発表:
・ 口頭発表の会場に参加される方(発表者・聴講者)は,Zoom会場に入室したら,ご自分の名前を「名前(所属)」に変更してください.
・ 発表者は,ご自身の発表時間の5分前には入室してください.
・ 発表者以外は,基本的にビデオ・音声ともOFFで聴講願います.
・ タイムキーパーは座長が務めます.発表時間12分,質疑応答3分です.
・ 発表は,発表者PCの画面を共有する形で実施します.

ポスター発表:
・ ポスター発表は,事前に提出されたポスターをweb上のオンラインポスター会場(次々項)で閲覧する形式とします.
・ 発表者はポスターを事前に提出し,web上で公開されたポスターで質疑応答を行ってください.なお,公開されたポスター自体はダウンロード出来ない設定としますが,SNSやその他webなどへのリンク流用はしないようお願いいたします.
・ オンラインポスター会場として,本大会ではGoogle Driveのリンクを利用します.Google Driveのリンクを参加登録者へ事前通知しますので,大会参加者はポスターを事前に閲覧し,大会当日に質疑応答を行います.
・ 大会当日のポスター発表における質疑応答は,オンラインチャットツール「Slack」を利用します.ポスター発表のコアタイムになりましたらSlackへアクセスし,チャット機能を用いて質疑応答を行ってください.Slackの利用方法については,大会用Slackの中にマニュアルを作成しましたので,大会用Slack公開後ご確認ください.(最初に簡単な登録が必要です.)

◆ポスターについて◆
・ポスターの提出先:jasms.jp@gmail.com
・締め切り日:10月28日 (木)17:00
・ポスターは10月29日に公開します.締め切りまでに上記メールアドレスへご提出ください.ファイル形式はpdfのみ受け付けます(ファイルサイズ上限は25MB).提出後の再提出による変更も認めますが,即時対応できかねる場合もありますので,ご了承ください.再提出を行う場合は,再度,上記メールアドレスまでお送りください.
1. ポスターの大きさは任意です。発表資料は一枚にまとめても,複数枚に渡っても可ですが,PCあるいはタブレット等で閲覧されることが想定されるので,4:3あるいは16:9などの縦横比を推奨します.
2. ポスターはweb閲覧されるので,リンクをポスター内に貼り付けることで,予備資料への誘導,発表者へのコンタクトツールのリンク,引用文献などの情報をポスター自体に付与することが可能です.また,発表者による更なる工夫も大いに歓迎します.なお,これらのリンク機能の付与は任意です.

5.お問い合わせ先 日本山の科学会事務局(メールアドレス: inf@jasms.sakura.ne.jp)

一般研究発表
・会場: オンライン(口頭発表:Zoom,ポスター発表:Slack)

口頭発表
(★:若手優秀発表賞 審査対象,☆:学生優秀発表賞 審査対象)↓
No 著者名(所属) タイトル
O-01 深田愛理*(新潟大・院),奈良間千之(新潟大), 白馬連山における周氷河性平滑斜面での礫移動分布と移動量について ☆
O-02 田中李奈*(伸東測量設計株式会社),今野明咲香(常葉大学) 地理情報システムを用いた流れ山の分布特性に基づく御殿場岩屑なだれ堆積量の推定 ★
O-03 青木綾乃(新潟大・院)* , 奈良間千之(新潟大),山之口勤(RESTEC) 新潟県,大所川流域での地すべりの検出における
航空レーザー測量と差分干渉SAR解析の比較 ☆
O-04 山田奈穂*(新潟大・院), 奈良間千之(新潟大) 中央アジア,テスケイ山脈における短命氷河湖の形成要因 ☆
O-05 西村基志*(国立極地研究所),青木輝夫(国立極地研究所・気象研究所),庭野匡思(気象研究所),的場澄人(北海道大学低温科学研究所),谷川朋範(気象研究所),山口悟(防災科学研究所),山崎哲秀(アバンナット北極プロジェクト)  グリーンランド北西部カナック氷帽上SIGMA-Bサイトで観測された雲の放射強制力 ★
O-06 鈴木拓海(千葉大学),高橋翼(千葉大学),瀬戸大貴(千葉大学),薄羽珠ノ介(千葉大学),竹内望(千葉大学) 富山県立山・剣沢雪渓における秋季の雪氷藻類による彩雪現象 ☆
O-07 立石和奏*(京都大・院 自然要因および人間活動が「お花畑」の植生分布に与える影響 ☆
O-08 永井 信*(海洋研究開発機構),小谷亜由美(名大),丸谷靖幸(九州大) 山岳域における生態系サービスと人流データの対応関係
O-09 神品 芳孝*(京都大・院) インド北西部ラダックにおける農外活動の導入に伴う農村の変化 ☆

ポスター発表
(★:若手優秀発表賞 審査対象,☆:学生優秀発表賞 審査対象)↓
No 著者名(所属) タイトル
P-01 井手玲子*(国立環境研究所),岡本遼太郎(筑波大学, 国立環境研究所),小熊宏之(国立環境研究所) 立山西斜面における2010年から2020年の消雪日と高山植生の緑葉期間の変化
P-02 佐々木明彦*(国士舘大)・西村基志(極地研)・鈴木啓助(信州大,大町山岳博) 北アルプス乗鞍大雪渓で2021年の融雪期に発生した土石流
P-03 瀧ヶ﨑愛理*(新潟大・学),奈良間千之(新潟大) 飛驒山脈における岩石氷河の永久凍土分布可能性の評価 ☆
P-04 武田皓明*(新潟大・学),奈良間千之(新潟大),高玉秀之(パスコ) 天山山脈北部地域におけるモレーンコンプレックスの流動について ☆

日本山の科学会2021年秋季研究大会(オンライン大会)と公開シンポジウムのお知らせ(第1報)

日本山の科学会は2021年秋季研究大会を下記日程で開催します。

また,一般公開のシンポジウムも研究大会と併催いたします。こちらは当学会非会員でもご参加いただけますので,是非ご参加ください。

大会,シンポジウムの日程や内容,参加登録の案内を以下の通りお知らせいたします。

1.大会開催日 2021年10月30-31日(土・日)

10月30日 (土) 午前・午後:研究発表大会
10月31日 (日) 午前:一般公開シンポジウム,午後:バーチャル巡検 (仮)

2.開催形式

本大会はzoom等によるオンライン開催です。

参加,研究発表の形式・方法,巡検の詳細は第2報でお知らせします。

3.参加費

無料(事前申込制による一般公開)

4.各種申し込みと予稿集原稿の投稿について
オンライン会場の設定やプログラム編成,予稿集作成のため,以下について事前のお申し込みと投稿をお願いします。

◆研究大会参加・発表の申し込み

・発表申し込み期間:9月13日(月)~10月15日(金)

・研究大会参加申込み期間:9月13日(月)~10月27日(水)

・大会参加発表申込フォーム:https://forms.gle/kNrSGo4CfM6paVw37

ただし,研究発表は山の科学会の会員に限ります。非会員の方で研究発表をご希望の方は入会をお願いいたします。

 

・予稿集原稿の提出期間:9月13日(月)~10月15日(金)

発表予稿は下記のURLからダウンロードしてください。作成した予稿は下記メールアドレスまで,メールの添付ファイルとして投稿してください。PDF形式のファイルは不可。

送信時のメールの題名は「2021秋大会要旨_筆頭発表者名」,添付のファイル名は「要旨原稿_筆頭発表者名」としてください。

予稿原稿のテンプレート:http://u0u0.net/qAhv

原稿ファイルの投稿先:jasms.jp@gmail.com

 

◆シンポジウム参加の申し込み

・シンポ参加申込み期間:9月13日(月)~10月27日(水)
・シンポジウム参加申込フォーム:https://forms.gle/A1QCqr4Awc3QymiAA

 

5.お問い合わせ先

日本山の科学会事務局(メールアドレス:inf@jasms.sakura.ne.jp

日本山の科学会2020年秋季研究大会(オンライン大会)の報告

『日本山の科学会2020年秋季研究大会(オンライン大会)』(新潟大学環東アジア研究センター後援)が,2020年10月24日(土)にオンライン上で開催された.例年,本学会の研究大会は,オフライン型で開催していたが,本年度の研究大会は新型コロナウイルス感染症の影響のため,オンラインでの開催となった.

大会当日は,研究発表が20件(口頭10件,ポスター10件)と公開シンポジウムが開催された.参加者は100名ほどであった.口頭発表はZoom,ポスター発表はSlackを使用して行われた.Zoomを使用した口頭発表では,発表者や参加者はZoomの使用に慣れていることもあり,時間を使っての議論をすることができた.Slackを使用したポスター発表では,議論が文字として残るので間違や誤解が無く,今後の研究の参考にできること,他の人が残した質問も見れるので,ポスターを見るタイミングがずれていても議論の内容や議論にいつでも参加できることなど,多くの利点があった.質問者も多く,ポスターでの議論も活発であった.

研究発表大会では,学生優秀発表賞として専修大学・院の栗本享宥さん,若手優秀発表賞として富山大学の太田民久さんが表彰された.研究発表終了後の公開ミニシンポジウムは,Zoomを使用して「COVID-19と日本の山」をテーマに開催された.公開ミニシンポジウムは,学会員でなくても参加できるオープン形式であった.信州大学の泉山氏,埼玉県立熊谷高校の宮嶋氏,三俣山荘の伊藤氏にご講演いただいた.部活動の活動制限や,山小屋での苦労話など,非常に興味深い内容であった.総合討論では,フロアからたくさんの質問が寄せられ,活発な討論が交わされた.秋季研究大会に併せて,昼食後には日本山の科学会の総会が開催された.また,公開ミニシンポジウム終了後は,Zoomによる研究交流会が催され,短い時間であったが会員同士の親睦を深めることができた.

(報告 有江賢志朗)

日本山の科学会2020年秋季研究大会(オンライン大会)のお知らせ(第3報)

投稿日時: 2020年10月14日

日本山の科学会会員のみまさま

大変遅くなり申し訳ございません.10月24日に開催される秋季研究大会(一般口頭発表,ポスター発表,総会)及び公開シンポジウムのプログラムが確定しました.公開シンポジウムはどなたでも参加いただけますので,周囲の方々をお誘いください.なお,公開シンポジウムと研究交流会の参加申し込みは,10月20日(火)まで延長しております.

本大会は、新潟大学環東アジア研究センターの後援を受けています.
https://www.arc.niigata-u.ac.jp/

・申込フォーム https://forms.gle/9HvUZhfXCH581odT6

(締切 10月20日(火) 17:00)

・要旨集(PDF5MB)→2020 Fall meeting Abstracts
【訂正】ポスター発表フラッシュトークの動画リンク一覧は、学会HPではなく専用のサイトに掲載します。専用サイトのURLは事前登録者にのみお知らせします。

一般発表やポスター発表の手順とフォーマット,コアタイムにおける質疑などの詳細は「要旨集」をご覧ください.


 

《日本山の科学会2020年秋季研究大会 口頭発表プログラム》

会場入室用 Zoom-URL は参加登録者に10月23日(金)までに連絡予定

★:若手優秀発表賞 審査対象,☆:学生優秀発表賞 審査対象
《口頭発表A 午前》座長 苅谷愛彦

◆0905-0917 O-01 奥山駿(新潟大・院),奈良間千之(新潟大),高玉秀之(株式会社パスコ),山村祥子(朝日航洋株式会社)中央アジア・天山山脈に位置する氷河起源型岩石氷河の空間分布と形成環境☆

◆0917-0929  O-02 有江賢志朗(新潟大学・院),奈良間千之(新潟大学),山本遼平(朝日航洋),福井幸太郎,飯田肇(立山カルデラ砂防博物館)飛騨山脈の小規模氷河の特徴☆

◆0929-0941 O-03 吉村亮志(新潟大・院),奈良間千之(新潟大) 飛騨山脈北部,白馬大雪渓における雪渓崩落 ☆

◆0941-0953  O-04 杉山博崇(新潟大学・院),奈良間千之(新潟大学),井上公(防災科研)北アルプス,白馬大雪渓周辺における岩盤斜面の地形変化 ☆

◆0953-1004 O-05 木村恵樹(専修大学院・院)*・苅谷愛彦(専修大学)安倍川源流の大谷崩・蓬沢における CE1707 以前を示す堰き止め湖沼堆積物☆

《口頭発表B 午後》座長 田中健太
◆1350-1402 O-06 井上穣(新潟大・院 ),奈良間千之(新潟大),王純祥・瀧田栄次(株式会社キタック) 上越地区,雁平地すべり地形の地表面変化 ☆

1402-1414  O-07  楠健志(筑波大学・院、地球科学専攻)、上野健一(筑波大学) 菅平高原での葉面積変化に伴う冷気湖の発達 ☆

◆1414-1426  O-08  西村基志(国立極地研究所),佐々木明彦(国士舘大学),鈴木啓助(信州大学)山岳地形によって生じる大気環境の地域性が降積雪に与える影響★

◆1426-1438 O-09 岡本遼太郎*(筑波大学)・小熊宏之(国立環境研究所)定点カメラを用いた半教師あり学習による高山植物開花フェノロジーのモニタリング☆

◆1438-1450 O-10 太田民久 (富山大学)
《招待講演》集水域の植生が物質動態の変化を介して、土壌・河川生物群集に与える影響★

◎1450-1455 「山の科学」編集委員会より投稿のおねがい(編集委員長 奈良間千之)

《ポスター発表 Slack使用》 コアタイムは,奇数番号[10:10-11:10],偶数番号[11:20-12:20]

*:発表者,★:若手優秀発表賞 審査対象,☆:学生優秀発表賞 審査対象 

◆P-01 青木綾乃(新潟大学,学)* , 奈良間千之(新潟大学),Murataly DuishonakuP-0v(キルギス国立大学),山之口勤(RESTEC) :キルギス,クムトール鉱山における雪氷土砂堆積物の流動 ☆

◆P-02 山田奈穂*(新潟大), 奈良間千之(新潟大), Mirlan Daiyrov (CAIAG):キルギス・テスケイ山脈における短命氷河湖の面積変動から推定される排水路の考察 ☆

◆P-03 松本広祐*(新潟大・院),奈良間千之(新潟大),渡部帆南(RESTEC),河島克久(新潟大), 檜垣大助(弘前大),八木浩司(山形大),若井明彦(群馬大):ネパール,ランタン・リルン峰における平常時の懸垂氷河崩落の特徴 ☆

◆P-04 本間夏実(新潟大学・学)*,奈良間千之(新潟大学),櫻井尚輝(朝日航洋) ,Mirlan Daiyrov (CAIAG):氷河上湖の出水規模の推定 ☆

◆P-05 深田愛理(新潟大学・学)*,奈良間千之(新潟大学) :白馬連山での周氷河平滑斜面の物質移動について ☆

◆P-06 栗本享宥*(専修大学・院),苅谷愛彦 (専修大学):八ヶ岳大月川上流部における大月川岩屑なだれの層序と年代に関する新知見 ☆

◆P-07 苅谷愛彦*(専修大学):上高地の自然史と深層崩壊

◆P-08 小山紗莉*(信州大学),西村基志(信州大学),黒雲勇希(信州大学),鈴木啓助(信州大学) 上高地において形成された冷気湖とその気象条件 ☆

◆P-09 佐々木明彦*(国士舘大学)・西村基志(国立極地研究所)・鈴木啓助(信州大学/大町山岳博物館)北アルプス,乗鞍岳高山帯のハイマツ小群落における地温状況

◆P-10 尾崎貴久(信州大学, 燕山荘), 東城幸治*(信州大学)明治時代に作成された高山植物・コマクサ標本からの DNA 解析、および山岳形成に深く関係したコマクサの系統進化史

《公開ミニシンポジウム (Zoom利用)》

□テーマ『COVID-19と日本の山』

司会  福井幸太郎(立山カルデラ砂防博物館)

15:00~15:05 趣旨説明 苅谷愛彦(専修大学)

15:05~15:30 泉山茂之 氏(信州大学) 「北アルプス最深部に向かうニホンジカ」

15:30~15:55 宮嶋 敏 氏(埼玉県立熊谷高校) 「早く元に戻りたい高校生の登山活動-埼玉県高体連登山専門部の場合-」

15:55~16:20 伊藤 圭 氏(三俣山荘) 「街と山をつなぐ道ーー黒部源流における人と自然ーー」

16:20~16:55 総合討論

16:55~17:00 閉会挨拶


お問い合わせ先 日本山の科学会事務局 (メールアドレス:inf@jasms.sakura.ne.jp


日本山の科学会2020年秋季研究大会(オンライン大会)のお知らせ(第2報)

日本山の科学会会員のみまさま

いよいよ,8月24日から大会の参加,発表申込みの受付けが始まります.プログラムの予定と併せて以下の通りお知らせいたします.

1.大会開催日 2020年10月24日(土)

2.会場:オンライン会場 (URL等は第3報でお知らせします)

3.参加費 無料(事前申込制による一般公開)

4.プログラム
午前
・開会あいさつ.全体説明(Zoom)
・口頭発表A(Zoom)
・ポスターコアタイム(PDF版ポスターをクラウドに掲載)

午後
・総会(Zoom)
・口頭発表B(Zoom)
・シンポジウム(Zoom)
・バーチャル巡検
・懇親会(Zoom)
*プログラムは発表申込状況により変更の可能性があります.
*研究発表の形式・方法,シンポジウム、巡検の詳細は第3報でお知らせします.

5.各種申し込みと予稿集原稿の投稿について
オンライン会場の設定やプログラム編成と予稿集作成のため,以下について事前のお申し込みと投稿をお願いします.

◆大会参加の申し込み
・受付期間 8月24日(月)~10月16日(金)
(第1報より受付開始が2週間早くなりました)
・申込フォーム https://forms.gle/9HvUZhfXCH581odT6

◆発表の申し込み
・受付期間 8月24日(月)~9月11日(金)
・申込フォーム https://forms.gle/L7SAWrizkhGxyznT8

◆予稿集原稿の投稿
・受付期間 8月24日(月)~9月22日(火)
・原稿のテンプレートを https://bit.ly/3gfXFMv からダウンロードしてください(Wordファイル形式).
・原稿ファイルの投稿先 jasms.jp@gmail.com

メールの添付ファイルとして投稿してください.PDF形式のファイルは不可.
送信時のメールの題名は「2020秋大会要旨_筆頭発表者名」,添付のファイル名は「要旨原稿_筆頭発表者名」としてください.

6.お問い合わせ先 日本山の科学会事務局 (メールアドレス:inf@jasms.sakura.ne.jp)

以上

日本山の科学会2019年秋季研究大会(川崎)の報告

『日本山の科学会2019年秋季研究大会(川崎)』(専修大学文学部と共済)が,2019年10月26日(土)に専修大学サテライトキャンパスにおいて開催された。今年度の大会では22件の発表があり,参加者は47名であった。発表は全てポスター形式で行われた。コアタイムを1時間30分とし,午前と午後に分けて発表を実施した。大学院生や学部生の発表も多く,十分な時間を使っての深い議論が展開された。大会では学生優秀発表賞として信州大学・院の岡本聖矢さんを,若手優秀発表賞として長野県環境保全研の栗林正俊さんを,それぞれ表彰した。
ポスター発表終了後には,公開ミニシンポジウム「山の科学―人と自然」が開催された。テーマは「日本の山における自然環境とその利用」と「欧州の山における自然環境とその利用」の2本立てでそれぞれ2件の講演が行われた。十分な時間をとった総合討論ではフロアからたくさんの質問が寄せられ,活発な討論が交わされた。
秋季研究大会に併せて,昼には日本山の科学会の総会が開催された。また,ミニシンポジウム終了後は場所を移して研究交流会が催され,会員の親睦,交流が深まった。

(報告 佐々木明彦)

研究発表大会の様子

公開ミニシンポジウムの様子1

公開ミニシンポジウムの様子2

優秀発表賞の授賞式

日本山の科学会2019年 秋季研究大会

日本山の科学会2019年秋季研究大会(川崎)のお知らせ(第3報)

2019 年 秋季研究大会 一般研究発表・公開ミニシンポジウム・要旨集 はこちら(PDF 5MB)

期日 2019年10月26日(土)・27日(日)

会場 専修大学サテライトキャンパス(小田急線向ヶ丘遊園駅北口徒歩1分;神奈川県川崎市)

https://www.senshu-u.ac.jp/social/satellite/

日程 10 月26 日(土)

10:25~12:00 研究発表(※受付開始時刻 10時)

12:00~12:30 総会

13:30~15:00 研究発表

15:10~17:35 公開ミニシンポジウム「山の科学―人と自然」

(※受付開始時刻 14時45分)

<サブテーマ1> 日本の山における自然環境とその利用

15:10~15:15 開会挨拶

15:15~15:40 飯田義彦(金沢大)「山林資源の利用史からみる山村文化の創造-用材と木地を生んだ里山の針広混交林-」

15:40~16:05 松尾容孝(専修大)「コモンズとしての現代林野の模索-利用と保全を併進する林野共同体-」

<サブテーマ2> 欧州の山における自然環境とその利用

16:10~16:35 横山秀司(九州産業大名誉教授)「東アルプスの山岳景観-景観生態学の視点から-」

16:35~17:00 山本 充(専修大)「オーストリアの山岳チロルにおける景観の変容」

17:00~17:35 総合討論

17:35~17:40 閉会挨拶

一般研究発表プログラム

・会場:専修大学サテライトキャンパス

・ポスター発表のコアタイム:

ポスターナンバー 奇数 10 時30 分~12 時00 分

ポスターナンバー 偶数 13 時30 分~15 時00 分

※一般研究発表は全てポスター発表形式で行われます。

1 佐々木明彦(国士舘大),西村基志(信州大),鈴木啓助(信州大):北アルプス乗鞍火山の高山帯における気温・地温状況

2 小山紗莉(信州大),西村基志(信州大),黒雲勇希(信州大),鈴木啓助(信州大):上高地における冷気湖形成とその気象条件

3 西村基志(信州大),佐々木明彦(国士舘大),鈴木啓助(信州大):雪面熱収支に影響を及ぼす冬期降雨の地域特性

4 上原元樹(信州大),佐々木明彦(国士舘大),鈴木啓助(信州大):乗鞍・上高地における降水の局地性

5 渡邉茜(千葉大),服部祥平(東京工業大),吉田尚弘(東京工業大),竹内望(千葉大):山形県月山の樹林帯の融雪期の積雪表面に含まれる硝酸の起源

6桂川 司(信州大),山中 勤(筑波大),佐々木明彦(国士舘大),黒雲勇希(信州大),西村基志(信州大),清水啓紀(信州大),鈴木啓助(信州大):中部山岳地域における降水安定同位体比の時空間変動

7 長幡嘉健(信州大),榊原厚一(信州大),鈴木啓助(信州大):上高地湧水における環境トレーサーの時間変化特性の解明

8 黒雲勇希(信州大),佐々木明彦(国士舘大),鈴木啓助(信州大):上高地の冷気湖形成に及ぼす新雪の影響

9 井手玲子(国立環境研),小熊宏之(国立環境研),岡本遼太郎(筑波大):定点カメラを用いた立山における消雪の時空間変動の検出と地形因子との関係解析

10有江賢志朗(新潟大),奈良間千之(新潟大),福井幸太郎(立山カルデラ砂防博),飯田肇(立山カルデラ砂防博):飛騨山脈北部における氷河と多年性雪渓の質量収支

11 栗林正俊(長野県環境保全研), 浜田崇(長野県環境保全研):中部山岳域における積雪期間の観測とモデリングの課題

12 奈良間千之(新潟大),有江賢志朗(新潟大),水野一晴(京都大):ケニア山とキリマンジャロの氷河の質量収支

13 永井 信(JAMSTEC): 流域における桜の開花季節

14田村梓(信州大),小熊宏之(国立環境研),藤本稜真(信州大),栗林正俊(長野県環境保全研),牧田直樹(信州大):飯綱山カラマツ林における葉と細根のフェノロジー

15 岡本聖矢(信州大), 東城幸治(信州大):標高傾度に沿ったモンカゲロウ Ephemera 属昆虫の分布と外部要因との関係について

16 島津 弘(立正大):ニューカレドニアにおける山地河川の土砂移動と山の環境

17栗本享宥(専修大),苅谷愛彦(専修大),目代邦康(東北学院大),山田隆二(防災研),木村誇(防災研),佐野雅規(早稲田大),對馬あかね(気象研),李貞(名古屋大),中塚 武(名古屋大):岐阜県郡上市水沢上の大規模地すべりと1586 年天正地震との関係

18 杉山博崇(新潟大),奈良間 千之(新潟大),井上 公(防災科研) :白馬大雪渓周辺における近年の岩盤斜面の地形変化

19 木村恵樹(専修大),苅谷愛彦(専修大):天守山地北部,山梨県身延町栃代における大規模マスムーブメント地形

20 福井幸太郎(立山カルデラ砂防博),金田平太郎(千葉大):飛騨山脈,立山カルデラ室堂山周辺の重力断層

21 苅谷愛彦(専修大),高岡貞夫(専修大),齋藤めぐみ(国立科博),小塚朋子(日さく):梓川右岸分水界上の「西穂池」における線状凹地埋積物の層序と年代

22 小森次郎(帝京平成大),佐久間理江(福島県視覚支援学校):山岳研究教育への3D プリンター利用の効果と課題